全事業者に義務付けられている「65歳までの雇用確保」。現在「70歳までの就業機会の確保」は努力義務ですが、人手不足の昨今、シニア人材の雇用はますます一般化していくとみられます。今後を見据えて、①就業規則の見直し②シニア人材の賃金・労働条件の見直し③継続雇用の意思確認④シニア人材の処遇・支援体制の見直し――等を行い、シニア人材により活躍してもらうための就業環境をいまから整えておきましょう。なお、令和8年4月は、シニア人材を雇用する会社にとって重要な制度改正が控えています。概要をおさえておきましょう。
○「在職老齢年金制度」の見直し:賃金と年金の合計額に応じて、老齢厚生年金の一部または全額がカット(支給停止)となる「在職老齢年金制度」。老齢厚生年金が減額されるライン(基準額)が、現行の「51万円」から「62万円」へと引き上げられます。
○高年齢労働者の労災防止対策が努力義務化:労働安全衛生法の改正により、高年齢労働者(60歳以上)の特性を考慮した業務の割り振り等を行うなどして、高年齢労働者の労災防止対策を講じることが全事業者の努力義務となります。
男女とも仕事と育児・介護を両立できるように、育児期の柔軟な働き方を実現するための措置の拡充や介護離職防止のための雇用環境整備、個別周知・意向確認の義務化など改正が行われます。今回は介護に関する点についてご案内します。
1.介護離職防止のための個別の周知・意向確認、雇用環境整備等の措置が義務化されました
① 介護に直面した旨の申出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置
(面談・書面交付等による方法)
②
介護に直面する前の早い段階(40歳等)での両立支援制度等に関する情報提供
③
仕事と介護の両立支援制度を利用しやすい雇用環境の整備
(社員向け研修、相談窓口設置等の措置)
2.介護休暇を取得できる労働者の緩和
引き続き雇用された期間が6カ月未満の労働者を労使協定に基づき除外する仕組みを廃止
→ 労使協定にて除外可能となるのは週2日以下の労働者のみとなります
介護に直面した労働者が、「離職」という選択肢ではなく職業生活との両立を選択できるように、事業所として体制を整え その内容を周知していくことが事業主に求められていくこととなります。
男女とも仕事と育児・介護を両立できるように、育児期の柔軟な働き方を実現するための措置の拡充や介護離職防止のための雇用環境整備、個別周知・意向確認の義務化など改正が行われます。今回は育児に関する点についてご案内します。
1.子の看護休暇の見直し
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改正前 |
改正後 |
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名称 |
子の看護休暇 |
子の看護等休暇 |
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対象となる子の範囲 |
小学校就学の始期に達するまで |
小学校3年生修了までに延長 |
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取得事由 |
病気・けが、予防接種・健康診断 |
感染症に伴う学級閉鎖等 入園・入学式、卒園式を追加 |
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労使協定の締結により除外できる労働者 |
(1)引き続き雇用された期間が 6カ月未満 (2)週の所定労働日数が2日以下 |
週の所定労働日数が2日以下のみ |
2.所定外労働の制限(残業免除)の対象拡大
(改正前)3歳に満たない子を養育する労働者は請求すれば所定外労働の制限(残業免除)を受けることが可能
(改正後)小学校就学前の子を養育する労働者が請求可能となる
3.育児のためのテレワーク導入が努力義務化
3歳に満たない子を養育する労働者がテレワークを選択できるように措置を講ずることが、事業主に努力義務化されます。
4.育児休業取得状況の公表義務が300人超の企業に拡大
現行、従業員数1,000人超の企業に公表が義務付けられていましたが、2025年4月から、従業員数300人超の企業に公表が義務付けられます。
公表内容…公表を行う日の属する事業年度の直前の事業年度(公表前事業年度)における次の①または②のいずれかの割合
①育児休業等の取得割合
育児休業等をした男性労働者の数÷配偶者が出産した男性労働者の数
②育児休業等と育児目的休暇の取得割合
育児休業等をした男性労働者の数+小学校就学前の子の育児を目的とした休暇制度を利用した男性労働者の数÷配偶者が出産した男性労働者の数
上記1~3については企業規模に関わらず全企業対応する必要がある改正となります。
就業規則改訂を含め準備をすすめましょう。
パート・アルバイトで働く人の中には、自身の年収と配偶者の扶養の範囲を意識している人も少なくありません。
税金や社会保険の扶養の範囲に影響のある年収のライン、いわゆる「年収の壁」について、従業員に説明しておきましょう。
【社会保険】
○106万円の壁 ▶ 社会保険(厚生年金保険・健康保険)の適用
○130万円の壁 ▶ 社会保険(国民年金・国民健康保険)の適用
【所得税・住民税】
○100万円の壁 ▶ 住民税が課税
○103万円の壁 ▶ 所得税が課税
○150万円の壁・201万円の壁 ▶ 配偶者特別控除の額が段階的に縮小→0に
年収103万円以下であっても、給与所得以外に副業等の収入があると、一定の場合、一時所得や雑所得、譲渡所得となって、
所得税が課税される「103万円の壁」等を超えてしまうことがあるので注意が必要です。
政府は現在、「年収の壁」を意識せずに働ける環境整備に力を入れています。
これからは、扶養の範囲内で働くよりも、世帯収入を増やす働き方を提案しても良いかもしれません。
被保険者が51人以上の企業等で働く、短時間労働者の社会保険加入が義務化されました。
すでに該当された企業様へは、年金事務所より「特定事業者該当」のお知らせが届いています。
まだ届いていない企業様についても、同一法人格に属する(法人番号が同一である)すべての適用事業所の被保険者が、合計51名以上となる法人事業所様は該当されますので注意が必要です。
該当企業様は、今までは社会保険に加入できなかった労働者様(通常労働者の4分の3未満の労働時間数)についても、加入させなければならないということになります。